不平等と豊かさ
ハリー・G・フランクファートは、高名な哲学者であるが、変な本を書いている。少なくとも、日本人の一般人諸兄はそう思うに十分な理由がある。(その理由は一番最後に。)
が、ここでは平等主義の是非を扱う ”On Inequality”について話したい。これもまたそんなに長くない本なのですぐ読めるが、要すればみんなが十分に豊かであれば不平等があったっていいのではないのかという主張のようである。
これは、格差や不平等なんてどうでもいいと言っているわけではなく、ただ格差があるから問題、不平等があるから問題、という論調はおかしいのではないかという問題提起である。
決して貧困があってもいいとは言っていない。ただ、格差や不平等と貧困を混同して同一に語るのはおかしいということである。両者に因果関係があるのであれば別だが、格差を解消したところで、必ずしも貧困がなくなるかというのはそうは言えないところである。(みんなが貧しくなるというのもありえるから。ここは価値観の問題も生じるので、「何の」平等かというところも意識しないといけない。)
一定のサイクルを示すように、格差や不平等という言葉はまた注目されてきているが、平等の価値はまだ答えが出ていないようである。
- 作者: ハリー・G.フランクファート,Harry G. Frankfurt,山形浩生
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※読みやすい。しかも、短い。何より主張が一貫していて分かりやすいです。キーワードは、「充足性のドクトリン」。
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※最近、ちくま学芸文庫で復刊されました。コメントはしません。
※ちょっと難しいです。本気で平等について考えたい人はどうぞ。答えは乗ってませんが、こんな論点があるのか。というのはわかります。